−ペルセウス座の伝説−
ペルセウスの冒険
(ギリシャ)


出典
地人書館 秋の星座博物館


ダナエと黄金の雨


 アルゴスの国王アクリシオスの王女ダナエDanaeは,誰からも愛されるやさしく美しい姫だった.
 王ほ,ダナエに自分のあとつぎをさせる男の子がさずかるよう神に願った.しかし,神託はきびしくつめたかった.
 王は夢の中で神の声を聞いた.
 「おまえはダナエの子にいつか殺されるであろう」
 王は恐ろしくなって,ダナエに子どもができないよう,青銅の部屋に幽閉した.小さな窓がひとつだけあるが,それも太陽や月の光以外は猫の子一匹通さない鉄格子でガードされた部屋だった.
 ところが,天の大神ゼウスは,幽閉された美しいダナエに恋をしてしまった.
 満月の夜,ゼウスは黄金の雨になって,小窓からダナエのからだに降りそそいだ.
 やがて,ダナエは一人の男の子を生んだ.
 ペルセウスPerseusはこうして生まれたのだが,王は孫の誕生を知って大いにうろたえた.そして,とうとう自分の娘ダナエと,その子を木箱に入れて海に流してしまった.
 

ペルセウスの冒険


 箱はセリフォス島の海岸に打上げられ,二人はディクテュスという親切な漁師に助けられた.ペルセウスはディクテュスに育てられた.
 ところが,セリフォス島や王ポリュデクテュスは,彼の美しい母親に恋をした.なんとかダナエを自分のものちしたいのだが,そうなると,成人した息子のペルセウスが邪魔になる.
 一計を案じた王は,島の人々をあつめて,自分の娘の結婚祝いにどういう贈物をくれるかとたずねた.そして,ペルセウスには「おまえには贈るものがなにもあるまい」といった.
 自尊心を傷つけられたペルセウスは,つい「私はあなたが希望するなら,たとえそれがゴルゴンの首でもさしあげよう」と叫んでしまった. まんまと王の手にのってしまったペルセウスは,ゴルゴンの首をもってくるよう命ぜられた.
 ゴルゴンGorgonは,ステンノー(強い女),エウリュアレ(飛ぶ女),メドゥサMedusa(女王)と呼ばれる三姉妹だが,いずれも髪の毛のかわりに蛇が鎌首をもたげ,けもののように鋭くとがった歯をもつ恐ろしい顔をしていた.おまけに,背中に黄金の翼をつけた怪物である.
 するどい眼力は,みるものを石にするほどの偉力があって,人々に恐れられた.しかし,三人の中でメドゥサだけは不死身ではなかった.
 ペルセウスは戦いの女神アテナに助けを求め,怪物退治のための手だてをいくつか教えてもらった.
 まずは,真のあるサンダルと,キビシスという不思議な袋と,かくれ帽子を,ニンフから借りることだった.
 さて,そのニンフ達の居所は,グライアイの三姉妹しか知らない.グライアイは娘といっても,生まれながらにして老婆で,三人で一つの目と,一つの歯しかもっていないという奇妙な姉妹であった.
 ペルセウスは,すきをみて彼女たちの目と歯を奪ってしまった.そして,ニンフの居所を教えてくれたら返すからとせまった.
 ニンフに借りたサソダルは,風のように空を飛ぶことができ,キビシスはどんなものでも入れられる袋,
そして,かくれ帽子をかぶると誰からも姿がみえなくなってしまう.
 ペルセウスは,更にへルメスから岩でも鉄でもなんでも切れる金剛の剣をもらい,女神アテナには青銅の楯をもらった.楯は,女神の忠告にしたがって,鏡のようにピカピカにみがいた.
 万全の準備をととのえたペルセウスほ,ゴルゴンがいる世界の西のはてにむかって飛んだ.
 ゴルゴン姉妹は海岸の岩の上で眠っていた.頭のヘビたちもからみあって眠っている.
 ペルセウスは,アテナの教えにしたがって,青銅の楯に写ったメドゥサの姿をみながら,うしろ向きでちかづいた.
 ヘビが一せいに鎌首をもたげ,メドゥサが目をさましそうになったとき,ペルセウスはうしろ向きのまま劔をふりおろした.
 切りおとしたメドゥサの首は,さっそく袋につめた.
 気がついたメドゥサの柿妹たちは,おそろしい勢いで追ってきた.しかし,ペルセウスはかくれ帽子をかぶって姿をかくし,まんまと逃げきった.
 途中,エチオピアの国で,アンドロメダ姫を助けて(アンドロメダ座を参照),彼女を妻にするというオマケまでついた.
 一方,ポリュデクテュス王は,自分の計画通り,ゴルゴンがペルセウスを石にしてしまったに違いないと考え,彼の母ダナエを襲った.
 ダナエは,漁師のディクテュスと共に逃げたが,王一味に追いつめられ捕えられた.
 ちょうど,このときペルセウスはセリポスに帰ってきた.むかえうつ王とその一味はメドゥサの首をみせられて,すべて石になってしまった.
 ペルセウスは,自分と母を助けてくれたディクテュスをこの国の王にして,自分は母と妻を連れて故郷のアルゴスにむかった.
 このことを知ったアクリシオス王は,国をすてて逃げてしまった.そこで,ペルセウスはアルゴスの王となった.
 しばらくして,近くの王国で競技会が催されたときのことだ.ペルセウスが投げた円盤が,あやまって見物人の中にとびこんでしまった.なんと,運悪く円整にあたって死んだのは,偶然,通りかかって見物していたアクリシオスであった.
 アクリシオスは,結局,夢でみたように,自分の娘ダナエの子に殺されてしまった. 




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